ひらまさ

イリュージョニストのひらまさのネタバレレビュー・内容・結末

イリュージョニスト(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

イリュージョニストとして各地でパフォーマンスをし、日銭を稼いでいたタチシェフ。
すっかり時代遅れになってしまったイリュージョンを披露するも万人受けしない。ある日、ショーを気に入ってくれた陽気な男に連れられサビれた離島のバーでショーをすることに。
パフォーマンスを見てタチシェフを「魔法使い」だと信じた貧しい少女・アリスと共にしばらく旅をすることに。
哀愁漂うアニメーション・ヒューマンドラマ。

いやあ〜アニメーションすごいですね!
水彩画のような、不思議な雰囲気の絵がずっと動いてる。
タチシェフの個性的な歩き方・礼も、手品師たちの挙動も個性があって可愛らしくて...素敵なキャラクターばかりでした。

面白い雰囲気のキャラクターと打って変わって、音楽もストーリーも全体を通した感想だと非常に重いものになります。

タチシェフのことを魔法使いだと信じて疑わない少女・アリスは、図々しいほどタチシェフに欲しいものをおねだりしたり直せないものを直してとお願いしたりします。

タチシェフも亡き娘の影をアリスに見出しそれに応えますが、やはり「売れない手品師」の稼ぐお金では難しく言葉の通じない国で夜仕事をしたりします。
この描写が酷く心に刺さります。この間をアリスは知らないし、「魔法使い」が身体を使って働いてお金をもらって、それで欲しいものを買っているなんて。

でもそこまでしてアリスに応えたいタチシェフにも彼女の前では魔法使いでいたいという気持ちがあったのでしょう。
だからこそラストでパートナーが出来てもアリスを見守る選択をせず、「魔法使い」でない自分を見ていて欲しくないから手紙を残して立ち去る選択をしたのかなと思います。

なんにせよ、タチシェフや手品師たちの哀愁が本当に心に沁みます。
打って変わってアリスが放っていた希望のような光はきっと彼らを救っていたのでしょう。
ひらまさ

ひらまさ