にゃんこむ

イリュージョニストのにゃんこむのレビュー・感想・評価

イリュージョニスト(2010年製作の映画)
3.7
フランスの大人向け長編アニメーション映画。
極力セリフが少ない作りになっていて、その分アニメーションで人物達の動きや表情が繊細に作りこまれています。

フランスのアニメ映画は『パリ猫ディノの夜』や『キリクと魔女』など、アニメーションというより絵画が動いているような作品ばかりですが、この『イリュージョニスト』は正統派なアニメーションです。

途中まではほっこり系の作品かと思っていましたが、後半になるにつれ、どんな結末になってしまうのかハラハラし、そして最後は……。フランス映画ってハッピーエンド作っちゃいけない決まりでもあるんでしょうか。

下働きの少女は常識が無い……というか貧しかったので金銭感覚が無いような描き方をされていますが、いくらなんでも酷い。手品師を本気で魔術師と思っていたにしても、無邪気な悪意すぎる。しかもちゃっかり男とくっついているし。

手品師と下働きの少女が夢から醒めて現実を歩んでいく光景は、悲劇的な描かれ方をしているわけではないのですが、シニカルすぎて私はバッドエンドのように思えました。
ただ、最後のシーンで、手品師は、目下の者には施すだけではダメなんだと気づいていたので、そこは良かったです。
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