ガブXスカイウォーカー

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

3.9
ゴジラシリーズ第25作。今作はなんとシリーズ初(唯一?)のオカルト物。ゴジラは太平洋戦争で犠牲になった人々の怨念の集合体だ。その目に瞳はなく、ただただ破壊を繰り返す戦争のメタファーで、ひたすら恐ろしい。

これに立ち向かうのは日本の自然の守護神=護国聖獣であるバラゴン、モスラ、キングギドラ。バラゴンとモスラは不良や暴走族を駆除し、キングギドラはヒロインを救う、正義の怪獣なのだ。

そしてゴジラや護国聖獣出現の予言をする伊佐山嘉利役は天本英世! 怪獣並みに恐ろしい。

でも、中には、なんでインファント島のモスラや宇宙の破壊怪獣キングギドラが日本の自然の守り神になってんの? と不満な方もいるはずだ。実は当初の予定では、モスラはバラン、キングギドラはアンギラスだったんだけど、大人の事情で変更されたそうだ。バランとアンギラスじゃマイナーだから仕方ないか。

金子修介監督は、オカルト×怪獣×防衛軍×マスコミ×親子のドラマを融合させ、平成『ガメラ』三部作にも匹敵するゴジラ映画を撮り上げた。渾身の一作だけあって、辛口のゴジラファン、いや怪獣映画ファンさえ唸らせる快作と言えよう。

なお観客動員数240万人、興行収入27億1,000万円(2002年度邦画映画興行収入第3位)と第3期ゴジラシリーズ中最高、実は同時上映の『劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』を家族連れが大勢観に来たおかげだ。ハム太郎目当ての子供たちはさぞや白目のゴジラと天本英世に驚いてチビッたことであろう。