とにかくゴジラのハジケっぷりに感激。大虐殺&大破壊に拍手喝采。作り手が心の底から人類を憎んでるのがビンビン伝わってきた。撮ってて楽しかっただろうなー!
新山千春さんが凄くいい。棒読みなのが逆に。ボーッとして危なっかしくて、絶妙に目が離せないっていうか。メンタルもフィジカルも異常にタフなのも好感度高い。すぐしょうもない怪我して動けなくなったり、泣きわめいたりして話の腰を折らないおかげでストレスなくサクサク話が進む。頭かち割っても包帯巻いて復活!ジャイアントのクロスバイクをノーヘルでぶっ飛ばすぜ。
オカルトと民俗学のエッセンスも新鮮で、海外ファンの評価が高い(らしい)のも納得。音楽の使い方もすごくセンス良いし。本編の禍々しいスコアももちろんいいけど、ラストで満を持してのあのフレーズには痺れまくり。
あとは個人的に、ゼロ年代初頭の日本社会の、どことなく能天気な感じに郷愁を刺激された。まぁ景気は良くないけど、なんだかんだ世紀末も終わったしなんとかなんじゃね?みたいな、日本がまだギリギリ、本当にギリギリ豊かな国っぽかった最後の数年間のあの空気感、物心ついたときにはもう日本が滅んでた自分たち90年代後半生まれにとっては、未就学児時分のおぼろげな記憶の中にしかないあの空気感が詰まってて、なんともいえない気持ちになる。物質的豊かさに溺れて平和ボケした日本人にゴジラが復讐しにくるとか、いまの新作で言われてももうピンとこないし。
千年竜王が割と出落ちのポンコツなこと以外は文句なしのマスターピースだと思います。