三樹夫

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃の三樹夫のレビュー・感想・評価

4.0
ゴジラは様々な解釈がなされるが、この作品はゴジラとは英霊の怒りという解釈にのっとって作られている。必死こいて命まで落としたのに、終戦からたった9年でこの腐りようは何だよ、非常事態になってもゴーゴーダンスがどうとかほざく若者であふれてるじゃねぇかと、怨念を纏った真っ黒の物体が54年に東京を襲来して以来の二度目の襲来という設定で、ついにゴジラは白目をむいて、明らかにヤバい奴感が漂う。シェーなんておちゃらけてたことが忘却の彼方になっている。
そんなゴジラを迎え撃つのは、日本の自然や大地を守る守護獣という設定のバラゴン、モスラ、キングギドラ。バラゴンはタイトルから削除されるという冷遇っぷりだが結構健闘していた。最後逃げだそうとしていたのがいただけないが。キングギドラは、私の命を吸ってとしんかのいし方式で、ギドラ→千年竜王キングギドラとなり、超サイヤ人のごとく金ぴかにビカビカに光っていた。おなじみのギザギザの光線吐かないのかなと思っていたら、最後までためるという演出でキングギドラの反撃を盛り上げる。

この作品は死のイメージを強めていて、とにかくポンポン人が死に、例えば通り過ぎて助かったと思った篠原ともえが尻尾で死ぬ。温水洋一なんかはションベンまき散らしてゴジラに踏まれて死ぬ役であった。またゴジラが熱線を吐いてきのこ雲があがり、原爆!?というセリフが有ったりで、黙示録感が演出されている。
本多猪四郎は、初代でもそうだし、『フランケンシュタイン対地底怪獣』では若者がゴーゴーダンスを踊るたびに怪獣に襲われていたし、『帰マン』でもキャンプしていた若者が怪獣に襲われるという話を監督していたので、よほど調子こいた若者をぶち殺したかったのだろう。そんな調子こいた若者は死ねマインドを継承し、この作品には調子こいたというよりはもはやクズの若者が登場し、死ねゴミどもという視線を投げかけられている。初代リスペクトは、山からにゅっと顔を出すゴジラのシーンにも見られる。
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