このレビューはネタバレを含みます
フランスのポールグリモー監督による、のアンデルセン童話を元に作られた作品。
あるお城に王様がいた。
王様は、自分の気に入らない者たちは毎日手元のボタンひとつで罠に落とすなど、自分勝手に暮らしていた。
ある日王は画家に自分の肖像画を描かせたところ、夜にその肖像画は動き出し、王本人が罠の穴に落とされてしまうことに。
一方、同じ部屋に飾られた絵の中、二人の少年少女が住んでいた。同じ夜、二人は外の世界を夢見て城を後にする。その少女に恋していた肖像画の王様は、家来や警察をを総動員し少女を探し出す。
少年と少女の二人は、鳥たちの助けを借りながら様々な場所を巡って王の手から逃げていくがそのうち見つかってしまい、二人は離れ離れに。そうしてわがままな王の意向により王と少女の結婚式が始まってしまうが、動物たちの力を借りて乗り込んできた少年によって式はめちゃくちゃに。城は崩れ、わがままな王はどこかに飛ばされていってしまう。少年少女は無事再会を果たし、わがままな王から自由を獲得した民たちは平和に暮らしていくのだった。
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セリフがほとんどなかったのが印象的だった。というか語り手の鳥以外、ほとんど誰も話さない。メインのキャラクターの王も少年少女もあまりセリフがなく、それでも絵の動きや音で状況がわかるようになっていて、普段見る映画のタイプとは違ったけれど違和感は感じなかった。自分の都合のいいものしか視界に入れていたくないわがままな王が、画家に描かれた肖像画の自分を美しく加筆した後にその肖像画によって罠に突き落とされて、皆んなが普段見ている地上の世界から「いなくなってしまう」のが皮肉だなと思った。あの後本物の王はどうなったのだろう。みんな罠に落とされたくないので王の命令に従うのに必死で、肖像画と王が入れ替わったのに気づかない。誰も本当の王を見ていなかった。最終的に、王の命令で動いていたロボットが罠にかかった鳥の小屋を開いたその手のカットでエンディングに入るのはきれいな終わりだったし、読後感(鑑賞後感?)が良い映画だった。
また、カリオストロの城などの制作の際、宮崎駿に強く影響を与えた作品のよう。上映にあたって日本でこの作品を配給していたのはスタジオジブリだったらしい。