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屋根の上のバイオリン弾きのHKのレビュー・感想・評価

屋根の上のバイオリン弾き(1971年製作の映画)
5.0
ミュージカルが苦手な私のオールタイム・ベストのミュージカル映画です。
先日、ドキュメンタリー作品『屋根の上のバイオリン弾き物語』を観たら予想通り本編が観たくなりました。たぶん20年ぶりくらいの鑑賞です。

初めて観たのはたしか高校生の頃でTVの『月曜ロードショー』(荻昌弘氏解説)、次は大学時代に今は無き福岡センターシネマで劇場鑑賞(インターミッション付)、その後はLDを購入して何度も観ました。今回は買ったままでひょっとすると今回が初見のDVD。

ロシア革命前夜のウクライナの寒村アナテフカ(架空の町)で暮らす信心深いユダヤ人一家の物語がなぜ全世界でヒットし、そしてどうして、日本人で信仰心も無く、ミュージカルが苦手な当時高校生の私の心に刺さったのか。当時は現在のウクライナ情勢などもちろん知る由もなし。
う~ん、残念ながらその理由をうまく言葉にできる頭を持ち合わせていません。

当時、有名なミュージカル映画はひととおり観た上で、自分にミュージカルは向かないなと認識しつつも、本作だけは大好き(後に『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』も好きになりますが)。
昔NHKの収録で観た有名な森繁の舞台版はなぜかピンと来ず、好きなのは映画版のみ。

もうオープニングからの『トラディション』の曲と映像との一体感にワクワク。
かと言って歌って踊ってばかりでなく、ドラマ部分とのメリハリはきっちり。
歌や歌詞が自然で、要所要所にピタリとハマり、なぜか他のミュージカル作品のように思考が中断されません。
『サンライズ・サンセット』は映画を観る前から知っていた有名曲ですが、映画を観てから俄然好きになりました。

それに主人公テヴィエを演じるトポルの魅力が大。
たしか私の場合『フォロー・ミー』の探偵役が先ですが、この主人公がトポルでなければ、これほど好きな映画になっていたかどうかも疑わしいくらい。
また、ツァイテル、ホーデル、ハヴァら三人娘(正確には5人)が素朴で、みんな美人すぎないのもいい。
本作はそれまでのハリウッド・ミュージカルでは必須のいわゆる美男・美女のスター俳優が一人もいないのも特徴です。

トポルがひと月ちょっと前、今年の3月に亡くなっていたことを鑑賞後にwikiで知りました。
本作と『フォロー・ミー』は彼の代表作として今後も新たなファンを作り続けるでしょう。
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