おけい

処女の泉のおけいのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
3.7
だいぶ前にベルイマンばかり鑑賞してた時期があって、レビュー忘れてるのがいっぱいあることに気がついた…。鑑賞とレビュー投稿が追いつかない。

本作はベルイマンが絶頂期の代表作。黒澤の『羅生門』に影響を受けている作品であり、非常に似ている。また、無垢な少女がレイプされ殺されるという当時としては衝撃的な内容が物議を醸した。

神の沈黙、信仰と復讐、奇跡を描いたベルイマンが多くの作品でテーマとしている題材である。

神の沈黙に絶望しながら、それでもなお神の救済を求める。紛れもなく人間のさがであり災難が降りかかった時、信仰の強い者程その人間のさががより露わになる。

ベルイマンが神の存在を信じてるのか、それとも神の不在を訴えているのか、作品を鑑賞するたびいつも考えてしまう。ベルイマンは牧師の父に厳しく育てられ、時には体罰もあったと何かの記事で読んだことがある。父に反発したベルイマンは家を飛び出すこととなりますが、宗教や神、愛と憎悪といったベルイマンの掲げるテーマに父が牧師であったことも当然影響を受けているのだろうと察します。

深いテーマの他にも美しいモノクロ映像にやはり心奪われた。撮影監督のニクヴィストがベルイマンと初めてコンビを組んだ作品であるが、これ以降のベルイマンの多くの作品をてがけるけとになる。(大好きな『ペルソナ』も)
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