ろ

処女の泉のろのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
5.0

「罪なき子の死も親の復讐も、あなたは見ていたはずだ。それなのになぜ…。」

教会に向かう道中、悪漢に襲われた若い女・カーリン。
その夜、寒さに耐えかねた悪漢が訪れたのは、なんとカーリンの実家だった。


一人っ子のカーリンは甘やかされ着飾り、滲み出る軽薄さ。
虐げられながら暮らす召使の女・インゲリは、カーリンを横目に心の中で悪態をつく。


教会に行くことになったカーリンのためにサンドウィッチを作るインゲリ。白いパンにチーズとラム肉を挟むところ、生きたカエルを捕まえて2枚のパンで挟み込んだ。
そして、カーリンが男たちとサンドウィッチを食べる場面。
和やかな顔つきだった男たちは、突然いやらしく迫ってくる、怖じ気づいたカーリンはサンドウィッチを落としてしまう。
中にいたカエルが飛び出す、と同時にカーリンはあっというまに襲われてしまう。

2枚のパンに挟まれたカエル、二人の男に襲われたカーリン。
着飾ったとしても所詮 女はガマガエルのようなものだ、とでも言いたげな、残酷すぎるこの演出。見事に心を掴まれてしまいました。


父親が清めの儀式に使うため、木を倒す場面。
まだ若い、白くて美しい一本の木。
それにまたがって、枝を切り落としていく。
このシーンがね、どうしてもカーリンが襲われるシーンと重なって見えるんですよ。
神を信じる者もそうでない者も、結局していることは…。
どちらが正しい間違ってるなんて、もう言えないですよね。


こんこんと湧き出る泉に、決して流すことはできない罪の意識が後を引く。
ろ