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処女の泉のditaのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.5
@第七藝術劇場 ~ベルイマン生誕100年映画祭~  

今回の特集上映の現時点ベスト。信仰心と神の不在についての表現が明確でめちゃくちゃ腑に落ちた。湧き出る泉とそれを囲む人々のシーンはそのまま額に入れて飾りたいほど美しかった。ベルイマンって神を馬鹿にはしていないと思う。

レイプシーンは辛いし復讐も見ていて苦しい。そこで出てきて救うのが神じゃないかと思うけど、やっぱり神は沈黙したままだ。どんなに徳を積んでも人は罪を負うしどんなに信仰心があっても目の前の怒りを抑えることは出来ない。矛盾だらけの人間、矛盾だらけの人生。赦しを請うことで救われるならそうすればいいと思うけど、無宗教のわたしはそれって卑怯じゃないかとも思ってしまった。

それでもベルイマンはラストである種の奇跡を見せた。否定することと自らの考えを表現することは違う。やっぱりベルイマンは凄い。
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