すずき

処女の泉のすずきのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
3.5
舞台は中世のヨーロッパ。
敬虔なキリスト教信者である地主テーレの邸宅で働く、異民族(異教徒?)のインゲリ。
彼女は父親の分からない子を身篭っていて、自身もまた父無し子だった。
テーレの娘であるカーリンは天真爛漫な苦労知らずの箱入り娘で、インゲリはそんなカーリンが嫌いだった。
ある日2人は、山の向こうの教会へとお使いを命じられる。
しかしその途中、暴漢たちにテーレは暴行され、殺されてしまう…

神の沈黙と罪への裁きをテーマの、ベルイマン監督の作品。
衝撃的な展開と描写が(当時としては)ショッキング!
スコセッシ監督の「沈黙〜サイレンス〜」と似たテーマだけど、こちらの方が重苦しく感じた。
あと画面の作り方が演劇的だな、とも思った。

「罪のありかは神のみぞ知る」とテーレは言う。
しかし神は、残虐な悪事を裁く事はしない。
テーレは自らの裁量で人間の罪を決め、自らの手で刑を執行する。
人は神の沈黙を嘆くが、それでも神に縋り付く。
神はいつも、小さな奇跡という形でしか、人の目の前には現れないのだ。