感性で見る映画。
音楽、風景、登場人物の表情、全てが美しい。
各シーンの良さを語るとキリがないのだが、特に中盤のジャックの潜水シーンが一番印象に残っている。
深くなるに従って、綺麗な青からだんだんと暗くグラデーションになる海中の様子が、BGMも相まってとても神秘的に描かれており、宇宙にいるかのような感覚になる。
そして、最深地点に到達した時のジャックの柔らかい笑顔、もっとその場所に留まっていたいという素振りが、その時点ではほのぼのとした印象を受けるのだが、映画後半の"水中から上がって来る理由が見つからない"というセリフで、切なさを感じるシーンとして思い起こされ、強く印象に残る。
ストーリーを論理で見ようとすると、月並みな映画かもしれない。
海を愛したジャックが、子供を身籠ったジョアンナを捨てて旅立ってしまうラストは、納得できないか、陳腐なラブストーリーに見える人もいると思う。
しかし、ラストシーンも含め、映像と音楽を駆使した表現が美しいので、感性で見る映画としての完成度はとても高いと感じた。
