Fujisan

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-のFujisanのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

アスリートとして、とても海に挑む男達の気持ちが共感できる映画だった。
そして、主人公の目線、海のアングルからドーンみたいな効果音で、主人公たちは、海を愛しているんだけれど、実はそんな生半可な感覚ではなくこの厳しい大自然に挑んでいるんだという命懸けの人生物語。海を見つめて生活している人の目はなんてキラキラとして美しいのだろう。

映画を観終わって、あまりの感動に冒頭のモノクロの子供時代のシーンをもう一度観直してみると、改めてこの映画が心に響いた。ここは伏線の部分であり、台詞の1つ1つに沢山の意味があった。神父様が出て来ていて、100万ドルの使い道にお母さんのロザリオを!と言うエンゾの笑顔に繋がる部分。ジャックに金貨を拾わせると、恵まれない人達に寄付をと教えられる部分。この神父様が小さな町の子供達の道徳を教えて来たんだろうなぁと、微笑ましかった。(三つ子の魂百までも)
個人的には自分の父の育った環境も思い出した。海で育った人間は海に帰りたいと誰しもが言う。或いはエンゾを観ていると曾祖父さんの事も想像した。恰幅の良い海の男で、漁に出て海で死んだ曾祖父さんだったと母から聞き、こういう人だったのかなぁと親近感を持てた。そういえば、泳ぐことの好きな長男も「俺、水の中の方が落ち着くんだよなあ」と言っていたのを思い出した。血は争えないな。

海を見つめるジャックのキラキラした目が印象的で、イルカを愛おしいと思う気持ちもとてもとても良く解る。
こういう良い男達を見ると、子供は結局、女が育てることになるんだよって、エンゾの彼女が言った通りだと思った。実際、そうなるし。良妻賢母になれる女は、夫の我儘や自由を束縛することなく子を守る。そして、最終的に全ての母になる。
それが本物の愛であり、海である。

本当に呼吸困難になる程に、素敵な映画でした。
Fujisan

Fujisan