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ベティ・ブルー 愛と激情の日々のkojikojiのレビュー・感想・評価

3.5
 1986年フランス映画。
 この映画、レビューを読むと、高く評価される方を時々見かける。どんな作品だろうと気になって、だいぶ前にclipしていたが今回やっと観る機会を得た。

 ヌーベル・バーグの次の世代を代表する監督ジャン=ジャック・ベネックスの作品。
 彼は初長編監督作品「ディーパ」で注目された監督で、この作品でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている。

 最初っからベッドシーン、しかも無修正。これには戸惑うが、それもあっという間に慣れてしまう。自然な形で愛情を表現しただけ、そんな戸惑い自体、バカバカしいと監督は笑うだろう。

 作家希望のゾルグ(ジャン=ユーグ・アングラード)が愛した女ベディ・ブルー(ベアトリス・ダル)は情緒の起伏が激しく、怒った時は手がつけられないが、精神が安定した時は、無類の可愛さを持っている。ソングの彼女に対する愛情は次第に深いものになって行くが、それに比例するように精神の不安定さの起伏の「振れ」が大きくなっていく。
 そして妊娠検査の結果が陰性と分かり、彼女の未来に対する望みが失われた時、ついに、奥に潜んでいた「狂気」が顔を見せる。
彼女のその時の姿にぞっとする。

 始まりは、たわいない恋人同士のじゃれ合いを長々と見せられ、「なんだの映画は?」と思い始めた頃、ベディの異常が突然顔を出す。最初は彼女の行動の激しさに戸惑うが、次第にそれが繰り返されるうち、二人のこんな生き様を見せつけられるのだとわかってくる。

 だからどうなのだ、といえばそれだけのことのように思うが、それが行き着く先からこの日々を思い返すと、妙に懐かしく強い喪失感が襲うから、私もいつのまにか、この奔放なベディ・ブルーを愛しく思っていたのだろう。

 主演のベディ・ブルーを演じたベアトリス・ダルはこの映画が初の映画らしい。初々しさ中に大胆さをもつ彼女の個性が光る。
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