Yoshmon

奇跡の人のYoshmonのレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
4.3
一見すれば、特に今日のご時世、子どもへの虐待とも読んで取れる、サリバン先生の徹底した教育への姿勢。

でもヘレン・ケラーへのサリバン先生のそれは今日の私たちの理解の幅を超えた愛の行為。

生後一年ほどで三重苦に苛まれることとなるヘレン・ケラー。
いや、人間に本来備わる感覚であることすら知らない本人には、苛まれることすら出来ないそんな状況。

そんなヘレン・ケラーに「意思疎通」を教えるために闘ったサリバン先生。

サリバン先生自身、目の病を患い決して恵まれた環境の中で生きることのできなかった幼少期の過去があるからこそ、どんなに厳しくともヘレンにコミュニケーション方法「指文字」を教えて社会で生きるための術を教えようと努力した、その壮絶な闘いが本作では描かれる。

本作はサリバン先生の意図にヘレンが悟ったところで終わるが、本当にすごいのはそこから。

盲学校で学び、聾学校で学び、後にラドクリフ・カレッジ(現ハーバード大学)で学士号を取得するまでに至る。

サリバン先生の努力が、ヘレン・ケラーを教育家へ、社会福祉活動家へ、著作家へ、社会へ羽ばたかせる大きなきっかけを作る。

稀に見る愛の形の一つ。
Yoshmon

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