LalaーMukuーMerry

奇跡の人のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

奇跡の人(1962年製作の映画)
4.4
確か中学校の英語の教科書にヘレン・ケラーとサリバン先生の話があって、目も見えず、耳も聞こえず、言葉も話せない三重苦の少女に、冷たい水を触れさせて ”water”の意味を分からせるというエピソードが書いてあったと記憶している。
          *
が、そんな生やさしい説明では全くイメージできない壮絶な「戦い」の物語だった。原題は「Miracle Worker」だからヘレン・ケラーよりもサリバン先生のことですね。目と耳が不自由な娘を両親はしつけをすることが全くできなかったので、甘やかされて、欲望のまま行動する粗暴な子に育っていた7歳のヘレンに、どうやって教育するか、やり方も確信がもてないまま手探りで、時には手荒に(両親の反対を押し切って)、忍耐強く接していく・・・。そこのところが本当に丁寧に描かれた作品だった。
          *
19世紀末(1880)、南北戦争で敗れた南部アラバマ州、南軍のリー将軍の血筋にあたる軍人の名家に生まれたヘレン。北部の出身というだけで、当初ヘレンの父はサリバン先生を快く思わなかった。サリバン先生自身も弱視で盲学校出身だったこと、当時の福祉施設がひどい状況だったこと・・・。初めて知ったことも多く(小学校の図書館にはヘレンケラーの自伝がたくさんあったが、私は読んだことがないので…)、それも心に残った。
          *
障害者福祉を当事者の立場から進める先駆者となったヘレン・ケラー。
          *
学ぶきっかけ与えられた者と与えた者。それを通じて生涯の友となったヘレン・ケラーとアン・サリバン。 よい映画でした。