ハイチを訪れた新婚カップルが、夫人を横恋慕する富豪の青年とブードゥーの秘術を駆使する男(ベラ・ルゴシ)の介入行為を受けてしまう。生ける屍にされた新妻の寝取られドラマ(寝てないけど)を描いている、史上初のゾンビ映画。
「黒人奴隷の歴史をもつ西インド諸島で白人が農場を経営する」という、初期ゾンビ映画の定石を創作している作品。秘術を横取りしたベラ・ルゴシが、ゾンビたちを労働力にしているところが醍醐味。資本主義の縮図がサラリと盛り込まれている。
富豪の身勝手な愛憎劇に巻き込まれた新妻(マッジ・ベラミー)が、夫の関知しないうちにゾンビ化させられてしまう。だが、自分の傍に置けるようになった代わりに、肝心の愛情が伝わらないという悲劇。富豪の悔恨の念が、しっかり伝わってくる。
おたふく顔に大きな目という、ビスクドールのようなマッジ・ベラミーが蠱惑的。「一緒にいて欲しい」と思わせるほどの、説得力に秀でている。そして、クライマックスに展開される、ご都合主義満点の畳み掛けがあまりにも可笑しすぎる。