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Vフォー・ヴェンデッタのEirainのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
4.0
以前、海外旅行中の飛行機内で観た「思い出の作品」・・・うん、「思い出の作品」であるのは間違いない。字幕もなく日本語吹替でもなくて、全く内容が理解できなかったという意味で。ただただ「ガイ・フォークス・マスク」だけが印象深かった。思い立って観直し(ほぼ初見かな?)。

世界的な情勢不安に乗じて徹底的な全体主義が敷かれたイギリスが舞台。外出時間までも制限された中、主人公のイヴィー(ナタリー・ポートマン)は規則を破って夜のロンドンを歩いていたが、秘密警察に捕らえられてしまう。そこへ現れたのは「ガイ・フォークス・マスク」を被った黒づくめの謎の男。圧倒的な力で瞬く間に秘密警察を倒してイヴィーを救った仮面の男は"V"と名乗り、彼女を建物の屋上へと誘う。そこでイヴィーが目にしたのは、街中にクラシック音楽が流れる中、裁判所が爆破される光景であった。
その翌日、国営放送をジャックした"V"は、政府に統制されて自由を奪われた今の社会が抱える問題について語る。そして国民に呼びかける。「現体制を変えるため、1年後の11月5日に国会議事堂を爆破する。同じ思いの者は、その日に国会議事堂前に集まって欲しい」と―――。

ジョージ・オーウェル『1984年』のような、国家によって統制された近未来ディストピアの世界で、国家権力に抗うダークヒーローを描く。「ガイ・フォークス・マスク」が権力に対する抵抗のシンボルとなったのはこの作品が原因だろう。どう考えても、大元のガイ・フォークスがそのまま権力に対する抵抗のシンボルにはならないだろうし。(原作がなぜ"V"にこのマスクを被らせたのかは分からないが。)

DCコミックス原作で、"V"のアクションにも魅せられるが、どちらかと言えば強大になり過ぎた国家権力の恐ろしさや、"信念"の大切さといったメッセージ性が強い。先述の『1984年』と併せて、今まさに当たるべき作品ではないだろうか。
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