しゆ

ビューティフル・マインドのしゆのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.1
想像してたものと違った。『イミテーション・ゲーム』みたいな天才数学者の偉業を映像化したものかと思ってたら…まさかの展開。
ラッセル・クロウの演技力が凄まじい。60年代70年代の屋内のセットのクオリティや本作の幻覚に翻弄されるテーマ性も相まって、実話ベースなのを抜きにしてもジョン・ナッシュ本人の人生をそのまま覗き見してるような感覚だった。
肝であるどんでん返しの統合失調症による幻覚の始まりは、おそらくペンダゴンに呼ばれてロシアの通信暗号解読を迫られたあとからかな?どこまで現実で幻覚かも分からない構図こそこの病気の恐ろしさだといえるけど、あえて厳密に区分するならこの頃かと。空撮の映像が挿入されてたけどあそこまで大規模な幻覚を見ていたとは考えにくいし(医療分野には全く詳しくないので推測の域だけど)、大学のルームメイトのチャールズも時系列で見れば食い違いが生じるけど後から脳内で創り上げ補完したと考えれば合点がいく。軍からの圧力がストレスになって症状を引き起こしたんだろうな。
初めて訪れてきた人物に通りすがりの人を呼び止めて彼が見える?って訊ねるのが凄く印象的だった。確かにそうでもしないと区別できない。
実話ベースの映画にはありがちだけど、本作は史実との乖離が指摘されて一部から非難の声が上がったそう。でもアカデミー作品賞、監督賞、そして脚色賞を得てるのは映画向けに手直しされてる上での感動があることを業界から認められてる証拠だから、忠実に再現した映画と捉えるよりはモデルが同じのヒューマンドラマって認識した方が楽しめるんじゃないかな。
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