つかれぐま

ビューティフル・マインドのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
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【天才は諦めない】

ナイーヴな数学者に粗野なラッセル・クロウを配役。精神疾患という題材。少なくない事実改変。こんな冒険仕事をよくぞまとめたものだと思う。ロン・ハワード凄い。

若き日の数学者ジョン・ナッシュの頭を占めていたのは、WIN-WINの実現。戦争は双方に利がある平和的解決を願い、経済学では、変動相場のコントロールによる富の独占を危惧する。だから仲間とのゲームにもどうしても勝てない。勝者と敗者に色分けされる世界を受け付けないのだ。当然、政府(ビッグブラザー)が要求する仕事とは肌が合わず、次第に彼の心身は壊されていく。

こんな知的な前半から、大きなサプライズを経て後半はヒューマンドラマへと変容していく。シャマランなら最後にドーンと持ってくる程の大ネタを、本作は中間より少し前に持ってくるという作りが贅沢だ。

後半はジェニファーコネリー(本作でオスカー受賞)との夫婦愛であり、精神疾患への偏見の否定だ。ジョンが数学を諦めなかったように、アリシアもジョンを、夫婦を簡単に諦めない。消極的に思われがちな「諦めない」という行為が道を拓く。というエエ話。

天才は諦めない。諦めないから天才。
どっちだろう?