コミヤ

怒りの葡萄のコミヤのレビュー・感想・評価

怒りの葡萄(1940年製作の映画)
4.4
地獄のデスロードムービー。喜怒哀楽詰まった我ら民衆のための映画。画質が最悪なのと、分割して観たため本編にあまり入り込めなかったが大好きなカットや人物の動きなどは随所に見つけられた。終盤のヘンリー・フォンダとジェーン・ダーウェルの会話でのそれぞれのカットの強度が凄まじくて見入った。「俺はここにいる」という台詞は全ての貧民たちの尊厳となって強く問題提起する。怒りを怒りとして忘れないでおきたい。まあいいやで済まさないようにしたい。その後のママ・ジョードの「民衆はいつまでも生き続けるんだよ」はジョンフォードの意向ではないらしい。でも自分は違和感なく台詞に感動した。中盤ダイナーで貧しい老人の孫のために飴を安く売ってくれる姉ちゃんの思いやりと態度のアンバランスさも最高。人間っていいな。この子供2人が元気いっぱい天真爛漫でとても可愛く、終盤出てくる政府運営のキャンプのシャワーをぶっ壊して逃げるように走ると二匹の仔犬も連れられて彼らを追いかけるというカットが堪らなかった。家から離れたくないお爺ちゃんを無理やり睡眠薬で眠らせて、直後に老衰?で亡くなってしまうという展開が唐突過ぎて不謹慎ながら少し失笑してしまった。
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