てれ

モンスーン・ウェディングのてれのレビュー・感想・評価

モンスーン・ウェディング(2001年製作の映画)
4.0
インド、パンジャブ人の中堅層のリアルな結婚式の準備が見られて文化の勉強にもなる良い映画だった。

娘の結婚式を盛大にしようと奔走する父、結婚を控えるも秘密を抱えた娘、親族から幼い頃性的虐待を受け男性に恐怖を感じる彼女の従姉。彼らのそれぞれの物語が交錯し繋がる、激しくも緩やかな部分がある川の流れのような展開に魅せられた。

メインの人物たちではないが、印象に残ったのが可憐で内に想いを秘める愛らしさをもったメイドのアリスと、大雑把だけど気さくでお茶目なウェディングプランナーのデュベイ。彼らの恋模様が個人的にこの映画でいちばん好きな部分だった。お互いに恥じらう姿でさえも、周りの騒がしく雑多な空気から逃避するような夢幻の美しさがあり心捕らわれた。数々の結婚式を手掛けたウェディングプランナーなのにまだ花嫁に出会えないと焦燥するデュベイが、結婚式に縁起の良いマリーゴールドの花を食べるシーンはメタファーっぽく巧みな描写だった。

メイドのアリス役は「あなたの名前を呼べたなら」のティロタマ・ショームさん、こちらでもメイド役なので何かの縁を感じました。あとデュベイ役は「ガリーボーイ」の父親をやっていたヴィジャイ・ラーズさんだし、味のある演技が良かったです。

ミーラー・ナーイル監督の作品は独特で静謐な趣がありこの映画にも心惹かれました。
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