「トト・ザ・ヒーロー」に投稿された感想・評価

のび
3.5

このレビューはネタバレを含みます

この物語は、自分で自分の人生に評価を下してはいけないし、自分にとっては何気ないことでも、他人から見ればそれはかけがえのない幸福なのかもしれないことである、ということをわたしたちに突きつける物語だと言えるだろう。

あまり幸福とは言えない子ども時代を過ごした主人公のトマが、向かいの家のアルフレッドに羨望と恨みを抱き、本当はアルフレッドと取り違えられたのだ、自分の本当の人生はアルフレッドとして生きることだったのだと思ってしまっても、仕方ない面はある。

でも、トマがそんな悲しみを抱いているからこそ、姉のアリスとの関係は純粋で美しいし、父親がピアノを弾いて歌う場面は、ひときわ明るく輝いて見える。他人から見ればそれはかけがえのない幸福なことなのだと、老人になったトマがようやく人生の最後にそう気付いた。

そこでようやく、老人トマは幸福に包まれて自分の人生を全うすることができたのだ。わたしたちの目から見ると、それはひどく手遅れにも見えるが、トマにとってはそれだけで十分幸福だったはずだ。
ひでG
4.0
2回目の鑑賞。この不思議な映画を堪能しました!

いやあ、スパイスかなり効いてますね!

悲しい話だけど軽快な音楽と語り口。

面白みもない悲惨なトマの人生なのに、どこかおかしい。

自分では大きな決断をしてこなかった人生なのに、最後に、、、

というように、全てが一筋縄ではいかない。何重にもひねりがはいっている。

生まれた時に、隣の金持ちのアルフレッドと入れ替えられた。【と思っている】

貧しく、不幸続きのトマの家族。気弱なトマの唯一の心の支えは姉のアリスだけ。

老人のトマと、少年時代のトマ、青年になったトマのシーンがごちゃ混ぜこぜで登場し、そこにトマの妄想も加わり、実に賑やか?な展開。

この映画感じどっかで観たなって、思って監督調べたら、
「あ〜、「神様メール」の監督か〜!」と納得。

ちょっと【いや、かなり^^;】変わった家族のかたちと人生をブラックユーモア的に描くのが好きな監督さんなんだな。

「神様メール」もより刺激的になってきたけど、作品的にはこちらの方が数段上のかな。

アルフレッドへの恨み、妬み、劣等感だけが生きる最後のめあてだったトマが、最後にしたこと、そして、どうなったか?
なんて、なかなかの切れ味だったよ。

観た人みんなが「いい!」ていう作品じゃあないけど、僕は好きだよ。
何度も見ているのにレビューするのを忘れていました。最高です。LDに載っていた解説がまたぐっときました。
たろう
3.8
狂気じみてるけどそういう人間もいるんだろな
はな
-
以前見た、八日目 という映画が面白かったので、同じ監督ということで。赤ちゃん取り替え、姉弟の愛、さらに下の弟はダウン症など、いろんな背景があるのにどれも相容れていない気がした。何を感じれば良かったのか。八日目の方が一貫してて好きでした。しかし、ベルギーだかフランスの映画とのことで、らしいというか、視覚的に印象に残るシーンが多かった気がします。きれいな。
naveo
3.8
ロリ乳あり
emily
4.2
 陽気な飛行士の父、やさしい母、大好きな姉アリス、ちょっぴりおつむの弱い弟とトトで5人幸せに暮らしていたが、同じ誕生日で向かいに住むアルフレッドと火事で取り違えられたと信じているトトは常に不信感を抱いている。父が行方不明になり、アリスはその原因と思っている場所に放火し死んでしまい・・大人になったトトはアリスの残像を追い求めていた・・

 物語はもう老人になってしまったトトの語りから始まる。自分の人生には何もなかった・・そもそも生まれた日から間違いと不幸の連続だったことを回想という形でありながら、しっかり子供の目線でカメラは描写し、少年期、青年期、老人になった今の3つの時間軸を交差させながら、徐々に過去と現在が交差し、回想の中から現在の物語が進み始める。

 現実でありながらアクションさながらの探偵物語がトトの夢物語として交差し、幻想と現実の中に超現実的な悲劇にストーと落とされ、ピアノを弾きながら歌う父の歌声と笑顔が上塗りしていく。対照的な描写が物語にいろんな色を見せてくれ現実と幻想が交差する中で、それらはトマにとってはその時感じていた現実であり、たとえ幻想であったとしても、それが今の老人になったトマの基盤になっている。だからこそ過去を回想し何もなかったその人生を振り返る事で、今のトマの物語が前に進み始めるのだ。

 トマの何もなかった人生には、家族が居て、アリスが居る。すべての時間はアリスの死をもって止まってしまっているのだ。少年の頃恋をしたアリスの事、大人になってもその残像を追い求め、止まった時間の中で生きてきたのだ。すっかり年老いて老人になってしまっているが、そのことにやっと気が付くのだ。

 また皮肉な事に同じように止まった時間の中過ごしている人が居る。現実と幻想そうしてあまりにも残酷な現実を挿入させ、両極の中でその残酷さは異質に浮き彫りになる。それでも彼が歩きだしその先で見た物は何もなかったと思ってきた人生にすべてがあったと知った事だろう。父の陽気な笑顔とピアノと歌、アリスが居て、家族が居て、そこにはすべてがあった。そうして最後に自分を赦しを与える事が出来た。ラストの陽気さはファンタジータッチだが爽快さを残してくれる。
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