寡黙な映画。
静かな悲しさ。
劇的な物を期待すると拍子抜けする。
皮膚を抉る痛切さではない。
爪をずっとやすりがけされているような、不快感ともつかない、嫌な感じ。
がさがさした音と画質、圧迫感のある画面。テンポ遅い。
統合失調症の主人公ですが、
映画は一人称視点ではありません。
ピーターさんに届く声を一緒に聴くことになる。
聴こえるのではなく聴いている、だけ。
視聴者はあくまで三人称。
ピーターさんの「聴こえる」を身に迫って実感できない。
私には正直少しつまらなかった。
が、その点が良い作品だと思う所以でもある。
ピーターさんは誰にも理解されなかった。
一緒に聴こえる人は居なかった。視聴者も同じ。
結局人の中身で起きることはわからない。
実際起こったことだけしか見えない。
当たり前ではあるのですが、忘れがちなことを体験したのでした。
とはいえ静かすぎて眠たくなった。同じ列の人は寝ていた。
ストーリーも掴めず(警官の下り追えなかった)。
ピーターさんの線のぶれた可愛さで画面が保っていた感。
アングストみたいな派手な揺れとかあったら全体的にもっと評価が高くなっていそう。
ラストはロマンチックで好きでした。
ピーターさんにはまだ受信機があるから。
広告って難しいなと思ってしまう。
(コーヒー三杯何だったのか)
良い作品だと思えど、人に勧める時に難しいタイプ。
痛切さよりは柔らかい切実さを求める人が是非観るべき。届く人に届いて欲しい映画。