しちれゆ

クリーン、シェーブンのしちれゆのレビュー・感想・評価

クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)
3.7
1993年作品
【頭に受信機、指に送信機。男はそう信じていた。施設出所後、男は里子に出された娘を探し故郷に戻るが、図らずも幼児殺人容疑で刑事に追われ、その世界は混迷を極めていく。】公式サイトより

統合失調症で施設に入院していたピーターが退院した。車の窓ガラスやサイドミラーに新聞紙を貼り付ける。頭の中の受信機を取り出そうと頭頂部を刃物でえぐる。指に嵌め込まれた送信機を撤去しようと爪を剥ぐ。こんな男が退院を許されることがそもそもおかしい。

彼には愛する娘ニコールがいて、ニコールに会いたい一心で車を走らせる。そこに起こった少女殺人事件。それを追う刑事もニコールの里親となった女性と会ってすぐ肉体関係を持つ。その刑事の誘いに乗る女も女だし、皆 普通じゃない。
本物なのはピーターのニコールに対する愛情だけで、幼い少女は本能的にピーターを父だと認識し、自分を愛してくれる唯一無二の存在として受け入れる。孤独な者同士が理屈を超えて共鳴するさまが尊い。ピーターの頭の中に溢れるノイズは彼と彼が対峙する世界との不協和音である。

ニコールは工事現場(だったと思う)にあった受信機に向かい「ハロー、ハロー、パパ?」「そこにいるの?」と永遠に問い続ける。