クリーン、シェーブンの作品情報・感想・評価 - 14ページ目

「クリーン、シェーブン」に投稿された感想・評価

犬

犬の感想・評価

3.0
どうやら『アングスト』も統合失調症らしいけど俺が知ってる統合失調症のイメージはこれ。奇しくも俳優本人の写真を使用して幼少期の性格と現在の異常性を比較する構造やら雰囲気も少し似てる。まあ『アングスト』ほど目まぐるしくないし、同時進行で刑事捜査も行われるからこっちの方がドラマ性あって見やすいけど。受信機/発信器を取り除くために頭皮や爪を剥がすなどの統合失調症におけるビジュアルの数々が生々しく退廃的であり、無線を使ってパパとの交信を試みる娘のラストに泣く。てか、このイケメンどこかで見たことあると思ったら『マスク』の悪役じゃん。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.0
【男の脳内にだけ雑音が迸る】
VHS時代のカルト映画『アングスト/不安』のヒットのお陰で劇場公開が期待される映画『クリーン、シェーブン』を観ました。本作はポンコツ日本映画を追い続け、毎年『皆殺し映画通信』を発行する映画評論家の柳下毅一郎が字幕監修したことでも有名な作品です。柳下毅一郎自身殺人現場マニアで、昨年名刺交換した際に、殺人現場巡りした時の写真がカッコよく印刷された代物をいただきました。そんな彼を魅了させた狂気のロードムービー『クリーン、シェーブン』に挑戦してみました。

統合失調症の人に会うと、かなりの確率で、「声が、ノイズが脳内を駆け回るんだ」といった声を聞く。本作は、なかなか想像し難いそんな統合失調症の人の心理に迫る傑作だ。明確に言葉が聞こえるか聞こえないか分からないノイズが画面を駆け巡る。男は、その不快感に耐えきれず地面に屈み込み、耳を防ぐ。彼は常に幻覚、幻聴と闘っており、突然暴力的に差し込まれる残像が観客までも不安にさせる。彼は車を運転しようとすると、ボールがフロントガラスにぶつかり、少女がふてぶてしい顔で男を見つめる。それに耐えきれず彼は彼女を殴打する。

身体の痒みは、彼の妄想を助長させ、頭を少しハサミでくり抜き、カミソリで血だらけになるまで剃っていく。終いには、爪を...いや、あまりに酷いので言葉にしないでおこう。コーヒーを3つ並べて砂糖をふんだんに突っ込む精神不安定な彼は、ミラーをテープで覆い、窓ガラスを新聞紙で隠し、道を走らせる。彼には合わなければいけない娘がいたのだ。

世界は静かなのに、暴力的な幻覚幻聴で地を這うようにして苦痛の出口を目指す男の苦悩をロードムービーという比喩に置き換えて描いた本作は動の『アングスト/不安』に対して、静のポジションを持つ。丁寧に丁寧に主人公の不安を描くことで、単なるサイコサスペンスの域を超えることに成功している。例えば、彼が人と目を合わせることに不安を感じる様子を強調するために、母親の目元から下をじっくり映すショットがある。彼がじっとしていられなくて、立ち上がると、「お座り」と立ち上がって言う。視線をズラしたいのに、ズラしてはくれないのだ。この静かなショットの連続だけでも、彼の不安が説得力持ったものとなる。

VHSカルト映画はどうしてもグロテスクな描写ばかり強調されがちだが、『アングスト/不安』同様、犯罪心理学や精神病患者の心理を深掘りし、観客に疑似体験させるメディアとして優秀と言えよう。

是非とも新文芸坐で2本立てオールナイト上映をしていただきたい。
ロッジ・ケリガン監督作品。
精神病院を出たピーターは、里子に出された娘に会うために車を走らせる。その頃町では幼女の殺人事件が起きていた・・・という話。

頭に発信器、指に送信器が埋め込まれていると妄想している男が主人公。頭はハサミで皮膚を切り取り、指はナイフで爪を剥がして、妄想の中の機械を取ろうとする。
自身が走らせる車に対しても、ミラーを割ったり、新聞でくるんで自身の姿を見せないようにする。車を走らせていても、ラジオのようなノイズや黒人の声の幻聴が聞こえてくる。

上記のように精神病者を描こうとしているのだけれど、説明の要素が少なくて、主人公ピーターがいったい何をしているのかが分からなくて、怖い。そしてラジオみたいなノイズ、BGM、アメリカの田舎の寂れた空気感が怖い。
図書館でピーターが狂っているシーンや、最後の娘が発信するシーンが良かった。
カルト映画。

字幕が柳下毅一郎なのも納得の作品。
鬱々として気ぃ狂いそうな痛々しい物哀しい観てて凄い疲れる映画。

とりあえず髭剃る時は鏡みようね。

結末は結局どうなったのか理解出来なかったっていうか覚えてないっていうか...
ただラストシーンはホントに哀しかったよ。
イワシ

イワシの感想・評価

4.0
頭の中のラジオと爪に埋め込まれた発信器に苦しむ統合失調症のピーター・グリーンが娘に再会するために車を走らせるある種のロードムービー。痛々しくも侘しい道中だが、ラストで頭の中のラジオの話を聞いた娘が船の無線機で父親に呼びかけてる姿は泣けた。
[お前にはパラノイアでも俺には現実なんだ] 80点

ロッジ・ケリガンのカルト的代表作を遂に拝むことが出来たことにまず感動している。このノイズ音(主に悲鳴と自分の呻き声)と環境音だけが鳴り響く空間に、鏡を異常に恐れる狂人を配置し、その異常行動を延々と展開する地獄のロードムービー。計画性のないサイコパスの地獄旅行といえば、『鮮血と絶叫のメロディ / 引き裂かれた夜』を思い出すが、映像が比較的穏やかなかつ丁寧な本作品のほうが異常さは際立っている。目線は忙しなく動き回り、聞き取れない単語をブツブツと呟き、コーヒーに入れられるだけの砂糖をぶち込み、車の窓ガラスを叩き割って新聞紙を貼り、鏡を見ずに髭を剃って顔中血塗れになり、図書館の本棚に頭突きし続ける。しかし、丁寧に紡がれた物語はカーゲルの偉大なる遺産の後追いかと思いきや明後日の方向へ飛んでいく。

主人公ピーターには目的があって、それは養子に出された娘ニコールを取り戻すことだ。ピーターの威圧的な母親はピーターに対してもニコールに対しても極端に冷たいし、彼女のその冷たさがピーターの統合失調症の原因の一つになっているであろうことは容易に想像がつく。そして、ピーターの病的な娘への執着は子供への執着に変換され、彼の幻想世界は子供の声や姿で溢れかえる。異常さに理由を与えるというある種陳腐な展開は、控えめな映像表現と呼応して、逆に一人の男に寄り添う構図へと変化していく。

そして、ピーターが泊まった宿で少女の遺体が見つかり、警察が出動する。刑事はねっとりとした捜査でピーターの後を追い始め、彼の人生を詳らかにしていく。物語をクリアに、構造変化をスムーズにしてくれるのは刑事の存在に依るところが大きいだろう。しかし、この刑事も中々変態的な捜査を展開する人で、ピーターが泊まっていた宿にそのまま宿泊して証拠を探り、ニコールの養母に言い寄り、印象的だが本筋とは関連のない謎の銀行強盗遭遇シーンまで付いてくる。

"頭には受信機、指に送信機を付けられた"と娘に語りかけてからのラストシーンは感動的で、冒頭からは想像もできないほど穏やかなだった。とはいえ、純度の高さから短いくせに圧倒的な疲労度。
Cem

Cemの感想・評価

5.0
頭の中に受信器、爪の間には発信器が埋め込まれていると信じてる統合失調症の男

精神病院から出て、里子に出された娘を探しに故郷へ行く
その頃、町では幼女殺人事件がおきていた


セリフは少なく自然音とノイズ音、人の笑い声や悲鳴などが混じり合う、音がとにかく怖いし不安定にさせる

受信機を取り出そうと頭をぐりぐりほじくるのとか怖かった!
爪に耳をあてて音の確認、それから爪を剥がすのはグロいし痛い
主人公の演技が上手く、生々しくリアルで観ていて苦しくなる


最後、娘が「ハローパパそこにいるの?」って交信するところ泣ける
粉津

粉津の感想・評価

3.5
ショッキングな描写が多いけれど、派手にやりすぎずほどよく日常感があるのが良い。ラストシーンは今も脳裏に焼き付いている。
堊

堊の感想・評価

4.2
「朝起きて誰かを殺そうと思った。パラノイアだって?俺にとっては現実だよ」
コーヒーへの砂糖の入れ方だけで圧倒的狂人ムーブを見せ、図書館の下りではもはや涙が。車の窓ガラスを叩き割って車の外を新聞紙でくるんで、「盗聴されてるんだ…こうしなきゃダメなんだ…」なんて娘に語りかけ…、まさか統合失調症に本気で寄り添ってくるとは思わなかった。ラストにわずかに挟まれる洗濯物を干す母の姿、ラジオを通して怪電波と交信しようとする女児に泣く。ズタボロになった幼女の死体も素晴らしい。決してアヴァンギャルドにならず、ごく丁寧に紡いでいってるのも好感が持てる。あまりにもフラッシュバック、ノイズによる幻聴シークエンスのタイミングが完璧なので本気でちょっと精神がダウってる人が見るとキツいかもしれない。DVD出たらたぶんちょっと話題になりそう。この作品がVHSで流通まで行ってることにまず感動したが。

このレビューはネタバレを含みます

妻が他界し精神病院に入院していたピーター。
愛娘との再会を願い
母の待つ故郷へと戻るが娘は里子にされてしまい行方知らず
養女にだされてしまった娘の探す旅に出るピーターだったが
彼のゆく先々では幼女の殺害事件が起こっていた。




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        ネタバレになるので
↓  作品が気になる方は閲覧しない方がいいです。 ↓





鬱々とした淀んだ雰囲気
情緒不安、幻覚や幻聴に苛まれ
妄想に憑りつかれる精神を病んだ男
新聞紙で窓を塞いだり
頭に埋められた電波を取り除くためハサミで頭をえぐる様や
爪を剥がす描写が痛みを感じるぐらいリアル。
見ているこっちまで
痛たたたたーーーーーーっ!!!叫びそうになる。
切ないお話なんだろうけど
心がそこに到達しないぐらい痛みの残像が凄かった。

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