The Trouble with Harry:アルフレッド・ヒッチコック監督、エドマンド・グウェン、ミルドレッド・ナトウィック、ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン出演、バーナード・ハーマン音楽、1955年作品。舞台はバーモント州のある小さな村。森の中で発見されたハリーと言う男の死体を巡るブラック・コメディ。
可愛い感じのイラストのオープニング映像で始まる。このイラストは誰のものだろう??ちょっと分からず。死体を巡るブラックユーモアという割には、かなりのどかで緩やかなタッチ。例えるなら(イギリス調の)落語のようなイメージだろうか。そしてロケのバーモントの紅葉の景観の美しい事。かなりの絶景が楽しめて、それだけでも観る価値があると思う。落ち着いていて品のある会話中心の物語にはピッタリの背景で、バーナード・ハーマンの音楽も穏やか。このタッチはヒッチコック作品の中ではおそらく異色のタイプだと思う。
個人的にはそれほどハマりもしなかったが、嫌いでもなく、時にはこんな映画もいいかな?!という感じだろうか。横たわる死体を足の裏から映すカットが印象的。ヒッチさんは絵画を眺めている老人のリムジンのわきを通り過ぎる。
皮肉が効いているとは言え、よくこのバカ話を映画として纏め上げたなと、ヒッチコックのセンスの良さを再認識した。物語に適度な起伏があるし、美しいロケ映像と洒落た会話に音楽で全く飽きることなく楽しめたと思う。