りょう

ハリーの災難のりょうのレビュー・感想・評価

ハリーの災難(1955年製作の映画)
5.0
 アルフレッド・ヒッチコック監督としては、1941年の「スミス夫妻」に次いで異色の作品ですが、彼の作品では個人的にBest 5となる1作です。20代のころに数十回は観ました。シャーリー・マクレーンがメチャクチャかわいいからです。数年ぶりに観ましたが、その印象はまったく変化ありません。それが独特の雰囲気のあるこの当時のカラー作品のいいところです。秋の紅葉の田舎町と森林の風景もとてもきれいです。
 ともに不朽の名作である「裏窓」と「知りすぎていた男」の合間にこの作品が製作された意図はわかりませんが、何の緊張感もなく観られるブラック・コメディの傑作です。そんな評価は一般的ではないかもしれませんが、まるで舞台劇をそのまま映画化したような登場人物のシュールな演技は、古典的なコメディを彼なりに映像化した結果だろうと思います。
 そこに登場するシャーリー・マクレーンに魅了されたのが30年以上前のことです。すぐに「アパートの鍵貸します」を観て彼女の魅力を再確認したことを記憶しています。映画としては「アパートの鍵貸します」が好きですが、彼女の顔立ちはカラーのほうが映えるので、この作品もとても大切です。
 ちなみに、ヒッチコック監督が「サイコ」ですらアカデミー賞(作品賞・監督賞)を獲得できなかった理由は、同年にビリー・ワイルダー監督の「アパートの鍵貸します」が受賞してしまったからです。ヒッチコック監督がシャーリー・マクレーンを映画デビューさせたのに、何とも皮肉な結果です。
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