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ハリーの災難のblacknessfallのレビュー・感想・評価

ハリーの災難(1955年製作の映画)
3.6
映画監督の評価で天才と評される場合、ざっくり分けると二種類あると思う。
独特すぎる世界観や他の追随を許さない唯一無二の映像を常に表出させるタイプとオールラウンドにあらゆるジャンルを撮ることができ、何作かはそのジャンルの基本になり、またはメルクマークを更新させる傑作を次々撮れちゃうタイプ。
前者がリンチやホドロフスキーで後者がスピルバークとヒッチコックだと思う。

まあ、そんなヒッチコックが撮ったブラック・コメディのハリーの災難は文句なくおもしろい笑
村の裏山みたいなとこで死体が発見される。数人の住人が発見するんだけど、彼らはみな、それぞれの事情から「これひょっとして自分が殺っちまったんじゃないか!?」と疑心暗鬼になり、死体を埋めては掘りおこしを繰り返すドタバタ劇。

本当にこれだけの話になのに死体の死因と誰が殺ったのか?事件化するのか否か?の興味だけでグイグイ観る方を釘付けにして、おまけに二組のカップルの恋愛模様もハートフルに入れ込んでくる。
上映時間99分ていう手頃な時間にまとまってるし、娯楽として完璧だと思う。
そんなにヒッチコックちゃんと観てないのに言うのもなんだけど、ハリーの災難は本当にクセのない娯楽に徹してる印象。裏と言うかダークサイド・ヒッチコック的なネチっした性的な暗喩や、どうやって撮ったんだろ?て考えずにおれない不思議なカメラワークは鳴りを潜めてる。
サイコや裏窓やめまい撮った人とは思えない笑 でも、これはこれでおもしろい映画になってるんだからやっぱ天才なんだね、すごいよ!ヒッチコック。
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