文脈のないイメージの連続の芸術性とアンナ・カリーナの魅力を楽しむ作品。
そしてミュージカルでもあるので、個々の映像はまるでミュージックビデオのよう。
現実のしっとりした海辺でたそがれるシーンや、街中ですれ違うシーン、夢の中でどんちゃん騒ぎするシーンなど、めくるめく変わる映像にときに目眩がするほどだった。
正直ノリとその変化についていくのが大変だった。
ただ、アンナ・カリーナはやっぱり魅力的で、彼女はどんなファッションも着こなし、いつでも彼女の個性は失われない。
ジャン=クロード・ブリアリの少し遊び人風だけど、実は真面目な雰囲気の役どころもよかった。
理想の女性として、広告のキャラクターにもなるアンナの顔。
オードリーヘップバーンの『パリの恋人』みたいに、アンナの輪郭が排除された顔のパーツだけが浮かび上がる。
やはりこのヌーヴェルヴァーグの女神が映画人から崇拝されていたということが、ここからだけでもわかる。
ストーリーに関しては流れだけ追っていれば良いという感じがした。
それよりもアンナの様々な表情とファッション、そしてそれと共存しうるカオスでカラフルな映像に酔いしれることが、この作品を楽しむことになるはずだ。