スギノイチ

ドミノ・ターゲットのスギノイチのレビュー・感想・評価

ドミノ・ターゲット(1976年製作の映画)
2.8
観ている途中そこまでハラハラドキドキしたわけでもないのだが、妙に心に残る映画だった。
いいなと思ったのは、主人公のジーン・ハックマンのくすぶり感だ。
ベトナム帰りで戦闘のプロらしいがその割にはひたすら受け身であまり有能なシーンが無いし、ジーン・ハックマン特有のちょっとうらぶれてる感じも相まって、巻き込まれ型主人公の中でも特に不憫に見える。
かっこいいシーンといえば、地表近くを水平移動しながらスナイプしていく暗殺アクションぐらい。
ここは中々迫力があるのだが、その後すぐに撃たれるわ怒涛の不幸が待ち受けているわで碌な目に合っていない。
中々衝撃的な展開も多いのだが、ひたすらやられっぱなしで相手の先を行くということが全然ない。
陰謀の背後にある組織の全貌も全然わからないし、あくまで陰謀に翻弄されるジーン・ハックマンの主観視点に徹底している。

その割にヒロインのキャンディス・バーゲンとのいちゃつきシーンはやたら長かったりして、観ている時は「ダルいなあ」なんて思ったのだが、本編を観終わってみると、この不憫な主人公の数少ないオアシスだったのかと思えて妙に物悲しくなったりもする。
クライマックスで、ずっと翻弄されるばかりだった主人公が、受けた傷からするとあまりにささやかな「報復」をするのだが、何かを諦めた様なジーン・ハックマンの顔が苦い後味を残す。
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