《過去1の視覚的魅力も、醍醐味が少し薄い作品》
【青春、アクション】
監督が変わり、今作から音楽もジョン・ウィリアムズでは無くなったが、前作も新鮮な作品かつ、初期2作のような楽曲は使われなくなっていたので全く違和感がなかった。劇中POP楽曲が使われてる所はハリーたちの成長も感じた。そのハリーたちの青春の全てをつぎ込んだ回でもあり、一定の感覚で視覚的に刺激のあるアクションも相まって、初見時には面白く感じた。が、何度か見返すと不思議と「好きなポッター作品」からは遠い存在に…。
【アクション超大作】
今作は各チャプターごとに大きな見せ場が多い。序盤の青年となったハリーたちの現在を映すシーンや3回戦に及ぶ魔法競技シーン、その間に挟んだボールルームでのダンス、そしてクライマックスの戦いなど派手なシーンが目白押し。
中でもやはりクライマックスのヴォルデモートとの戦いは待ち望まれていただけに見応えがあった。公開当初は「ついに来たか！」と興奮した。4作作り上げてきて一番の見せ場。
【ちょっとしつこい？青春劇】
ただ、今作の魅力の一つである青春要素だが、序盤のロンとの喧嘩であったり、ハリーの孤立だったり、青春模様を描きたいが為の理由づけがワザとらしかったのが気になってしまった。ワザとらしいというか、しつこいのかも。
【謎解きをしないハリーたち】
また、今までの作品のメインストーリーは全てその作品の中で、真実に向かって謎解きをしていくスタイルだったが、今作は「ヴォルデモート復活の真実、または手助けをしている人間を見つける」というメインストーリー以上に、「魔法大会」というサブストーリーの方が前面に来ていて、劇中本筋がなかなか進まないように感じてしまった。しかもハリーたちが解決するのでは無く、彼らの背後で話が進む形が多いので特にロンやハーマイオニーの印象が薄い。
【総括】
今作は派手なシーンが多く、一定のペースで目を惹くシーンが置かれてるので、今作が好きな人にも納得。自分も楽しめた。一方、何度か見るうちに自分がハリーポッター作品に求める要素が変わってきて、本筋が脇に追いやられ話が進まないという今作の負の面がちょっと強くなってしまった。数試合を順番に見せる魔法大会という特性もあって、アクション、青春劇、ミステリーが行儀良く順番待ちしていた印象もある。シリーズ醍醐味である謎へ向かってイキイキとしている3人のシーンも少なく、今となっては個人的には少し物足りない回になってしまった。
