April01

ハリー・ポッターと炎のゴブレットのApril01のレビュー・感想・評価

4.2
明るさが失われストーリーはより暗くなっていく。
そんな中、常に無邪気な明るさの象徴となっているウィーズリーの双子の面白さがどこか取ってつけたように無理やりに見えてしまうほど本作からは死がより身近に迫ってきてとても児童文学とは思えない深淵な世界観が広がってくる。

児童が大人になる過程で経験する初めての恋愛、つまり初恋の気持ちがリアルに伝わってきて微笑ましい場面も多い。

ハリーに対する学内での常に繰り返されるイジメがまたもやすごい。陰湿さ満点。とはいえ、彼を気遣う、本来敵であるはずのセドリックの存在が一条の光となって暖かな気持ちにさせてからの急展開はまさにジェットコースター。

終盤の戦いが少し安っぽく見えたのが残念ポイント。墓場という暗い設定で十分ではなく、もう少し荘厳さと怖さが欲しかったかな。

メローなスローダンスのバラードでも使われるエンドロール最後の曲、Magic Worksが切ない。
ジャーヴィス・コッカーの歌声も良いし、すでに自分の気持ちに気づいてるハーマイオニーと、わからずイライラするロンのやり取りの背後で流れ、ハリーの気持ちも心ここにあらずで通り過ぎる、そんな状況の後に一気にサビの流れる曲の使い方が最高!

特に歌詞
So dance, your final dance
'Cause this is your final chance
華やかだったダンスパーティとその後に起きる大きな喪失を想わせてしんみりする。

改めて再見すると、やはりセドリック・ディゴリーのキャラクターが好き。断然ハリーよりも。なので、パティンソン好きの始まりはセドリックと確信できる。


原作から省いたり変えている部分も多い。
原作:
隠れ穴でビルとハリー初対面
背が高く、髪を伸ばしてポニーテール
片耳に牙のようなイヤリング
ロックコンサートに行っても場違いのない服装(→のちにビルはパティンソン並みに熱愛するドーナル・グリーソンが演じる)

屋敷しもべ妖精の奴隷ぶりにハーマイオニーが怒る
映画はウィンキーのこと含め一切触れていない

オリバンダーによる試合前の杖調べもない

ダンスパーティーで演奏するのは
毛むくじゃらの幼女シスターズ
これはビジュアル化できないし、したらヤバイよね

エラ昆布を渡したのはドビー

ビルとウィーズリーおばさん、第三の試合をハリーの家族として観戦に訪れる
ビルの風貌は長髪に牙のイヤリング
フラーがそわそわとチラ見

墓場での決闘で
杖が一つの線になりハリーが押し勝ったのは直前呪文、すなわちVに殺された者たちの魂が加勢
セドリック
あの家の番人
バーサ・ジョーキンズ
ハリーの母
ハリーの父

セドリックの上半身が杖先に現れてハリー頑張ってと言うところは泣けたので、せめてそこだけは映像化して欲しかったな。映画は自分を父の元に連れて行ってという望みを伝えるだけなので。
これじゃあセドリックの存在が全然違ってくる。
この場面は本当に涙

優勝金はフレッドとジョージにあげる
いたずら専門店開業資金
笑いが必要

この締めのくだりで少し楽しい気持ちに戻されたので、やっぱり原作最強!ってなる。
April01

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