男はつらいよシリーズはそこそこ観てる自負があるけど、この作品はなんとも新鮮だった。
自分だけかもしれないけど、寅さんは下町風情あふれるイキでイナセでシャイな兄ちゃんみたいに思っていたんだけど、世間にとっては所詮ヤクザな風来坊。まともな社会には受け入れてもらえない爪弾きものとしていつもより描かれていた気がする。
寅ちゃんが帰ってくる
見慣れた作品なら獅子舞でも来るかのような賑わいようなんだけど、厄病神でも舞い降りるかのようなジメっとした雰囲気はかなり斬新だった。
だからというかその分、寅さんの抱えている世間や家族への後ろめたさとか、真っ当な暮らしへの憧れとかがよりストレートに伝わってきた気がする。
そしてそんな遣る瀬無い兄を慮る妹さくらの眼差しもいつもより愛情に満ちていた気がする。
額に汗して地道に働く
渡世人の辛ぇところよ
世の中や出生に不満もあるだろうけど、そんなものも含めて生きていくから男はつらいということなのかな。
いつものドタバタ人情喜劇も好きだけど、この作品は作品でちゃんと好きになれた。