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男たちの挽歌のnoteのレビュー・感想・評価

男たちの挽歌(1986年製作の映画)
4.6
偽札ビジネスで幅を利かせていたホーとマーク。ホーは警官を志す弟キットの事を考え足を洗おうとするが、罠にはまり逮捕。出所したホーを待っていたものは、兄へ憎しみを抱くキット、成り上がった弟分のシン。そして落ちぶれたマークの姿であった。堅気として生きようとするホーに、マークは巻き返そうと持ち掛ける…。

「香港映画=カンフー映画」という認識を覆し、「香港ノワール」というジャンルを確立したジョン・ウー監督作品。
アクションとドラマの融合が絶妙な傑作。

本作は、マフィアのホーと警官のキットという兄弟の愛憎劇がドラマの縦軸として描かれる。
堅気になって弟の信頼を取り戻したいホーだが、そこにかつての隆盛を取り戻したいマークの願いと熱い友情が横軸として絡む。

序盤はやや軽薄な男として描かれているマークだが、ホーを罠に嵌めた連中に、植木鉢に差し込んだ拳銃を乱射するお礼参りの襲撃場面は熱い。
そこで負傷した脚の金具を鳴らしながら、かつての弟分で成り上がったシンの侮辱に耐えるマークの姿は、見る者の胸を打つ。

不自由な脚を引きずりながらの必死の地下駐車場での銃撃戦。
復活の雄叫びを上げながらマシンガンを乱射する埠頭の決戦。
彼の雄姿に痺れない者はいないだろう。

引き裂かれた兄弟二人の絆の再生を描くドラマと燃えたぎるアクションが混然一体となるクライマックス。
戦いの中で散るマーク、仇であるシンを討てと無言で拳銃を渡し、兄を許す弟。
今見ても感涙のラストである。

公開からかなりの年月を経た作品ゆえ、映り込む風俗は古臭くなったが、この作品が語る熱量は、いまだに凄まじい。
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