このレビューはネタバレを含みます
1958年につくられた野村芳太郎監督作品。東京で起きたピストル強盗殺人犯が会いに行くのではとされる佐賀に住む愛人は年長の銀行員の後妻となって細々と暮らしている。そこに派遣された警視庁の二人の刑事は安宿の2階で張込みを始めるのだが……。松本清張原作のセミ・ドキュメンタリードラマ。
まずは横浜から佐賀までしっかり深夜急行に乗っていることを8分間もかけて見せる。それだけでこの映画の本気度が分かる。同時にこりゃ長い張込みになるぞとわかる。もしかしたら『桐島、部活やめるってよ』方式で犯人出てこないんじゃないかくらいまで勘繰る。そしてほとんどそれに近いことまでこの映画はやる。
ヒッチコック監督の『裏窓』の影響もあるんですかね? 主役は刑事さんってことになっていますがほとんど高峰秀子です。惜しいのは犯人が以下自粛。黛敏郎の実験音楽も相まって魅せられました。暑い夏のお話でした。