Mikiyoshi1986

女衒 ZEGENのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

女衒 ZEGEN(1987年製作の映画)
4.1
本日10月5日は日本が誇る名優・緒形拳さんの命日。
彼が亡くなられてもう8年が過ぎようとは、本当につい最近のことのように思えてなりません。
昔から大好きな俳優さんの一人であり、あのにこやかな表情の中に激しく燃え盛る篝火を携えたような方でした。

彼の出演作の中では今村昌平監督「復讐するは我にあり」が断トツで好きなんですが、それ以上に多才な演技で楽しませてくれたのは同監督の「女衒ZEGEN」ではないかと。

明治後期から昭和初期にかけて、かつて大東亜共栄圏で日本人娼館の発展に尽力した伝説の女衒・村岡伊平治の半生を描く歴史スペルタクル。
一応は第40回カンヌ国際映画祭のパルムドール候補作品でもあります。

彼はアジア諸国に日本人娼館を次々と展開していき、直向きに天皇陛下と国家の繁栄を願う一心で、国営娼館を目標にこのビジネスを軌道に乗せていきます。

「富国強兵」の名の下に軍事力でアジア圏の制圧を目論んでいた大日本帝国ですが、
一方の村岡は大和撫子の貿易で既にアジアを制圧していたわけですね。
そんな泥臭く生々しい人間の姿を、これでもか!!と言わんばかりにユーモアたっぷりに描ききるイマヘイ監督のエネルギーに脱帽!

コミカルにテンポ良く進行していく中、緒形拳が豪快に奔走しまくる様は最後までまったく観客を飽きさせないし、
まるで当時のアジアにタイムスリップしたかのようなリアルなロケーションとスケールにも終始感嘆です。

特に倍賞美津子は素晴らしい助演ぶりを発揮してくれています。
負けん気の強い良妻役を見事に演じており、さすがは猪木の元女房!といった貫禄。

ドイツ(ヘルツォーク)がキンスキーなら、日本(イマヘイ)は緒形拳だ!!
Mikiyoshi1986

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