巨匠ロバート・アルドリッチ監督による、凶悪な犯罪者一家の息子(相当、情けない)と一家に監禁されたキム・ダービー演じる令嬢との禁じられた愛と憎しみを泥臭い映像で綴ったニューシネマの佳品。
一歩間違えると『悪魔のいけにえ』になりがちなホラー映画的展開が凄い。如何にもアメリカ的な野蛮人を嬉々と演じた役者陣のテンションもさすがである。高圧的なギャングの母ちゃんは特に嫌だ。
ストーリーそのものは到って平板でオチも大体予想の範囲内である。が、そこはさすがにアルドリッチ監督だけあって豪快なアクションや銃撃戦など映画的見所は多い。ラストは何ともやるせない感情で包まれる。
「アメリカ南部の監禁もの」という意味では、フォークナーの文学『サンクチュアリ』にも通じるものがある。