青山

夜の青山のレビュー・感想・評価

(1961年製作の映画)
3.6
Mr.愛の不毛ことアントニオーニ監督。
倦怠期を迎えた夫婦が夜のパーティーに行くお話。

分かりづらいとも言えるし分かりやすいとも言える......なんせ一言で言えば「倦怠期夫婦の日常」ってだけのお話ではあるわけですから分かりやすいですよね。しかし、心情や行動の意味などに説明が少ないため、パッと見て難しくは感じてしまいます。

ストーリーの大まかな流れとしては、妻が夫にもう一度女として見てもらおうと試みるお話で、その契機としてパーティーの夜が描かれています。
夜を迎えるまでの前半部分は正直言って退屈ですが、良く言えばこの退屈さが夫婦の倦怠感を表現しているとも言えますね。
そして、夜のパートはもう素晴らしいです。いや、お話としては相変わらず淡々としているんですが、夜の空気が映像の中に真空パックされておるわけですな。白黒映画だからこその光と陰影の使い方が見事です。特に雨のシーンなんか好きですね。白黒なのに画面から雨の匂いがしてくるくらいに綺麗です......。
モニカ・ヴィッティさん、綺麗ですね。なんとも言えないエロさ。あの、灯りを消して影になる場面、息を呑みました。

ラストシーンがまた意味深ですね。額面通り受け取るべきか反対の意味か......。反対だとしてもその先に何かがあるのか......。これが愛の不毛ってやつっスか。不毛でも愛に縋るしかない。そんな人生自体が不毛。人生なんてハゲ。そんな感じでした。
青山

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