秋月

大いなる幻影の秋月のレビュー・感想・評価

大いなる幻影(1937年製作の映画)
5.0
傑作
ジャン・ルノワール監督の作品
ルノワールと聞いて真っ先に思い付くのが画家のルノワールだ。その画家のルノワールの息子にあたるのがこの映画の監督ジャン・ルノワールだ

以前ルノワール展がどこかの美術館でやると聞き、友人を誘ったが

友人『どんなやつ?』
私『喫茶店のルノアールに飾ってあるやつ』
友人・私『…』

ちなみに去年のボッティチェリ展の時は

友人『どんなやつ?』
私『サイゼリヤに飾ってあるやつ』
友人・私『…』

といった語彙力ない紹介をこの映画にもしてしまうのは、我ながら情けなく思う

話を戻すと第一次世界大戦中、フランス軍人の元労働者であったマレシャル中尉と貴族のボアルデュー大尉がドイツ軍に捕らえられ捕虜となってしまう。収容所内でフランスに帰化したユダヤ人のローゼンタールと出会い、伴に収容所を脱走するという話が本筋だ。
どこまでが本当の話かわからないがこの映画は監督自身の経験に基づいて作られたらしい

ドイツの収容所と聞くとアウシュビッツのようなものを想像するが、この映画の中の収容所は酒や音楽を堪能することができる程だ。当時の収容所にはきちんと物質が届いていたらしいがあそこまで自由だったのかはわからない。

この映画で印象的だったのは、ドイツ軍の捕虜に対する扱い方だ。敵であるフランス人に敬意を払っている。懲罰房に入れられたフランス人捕虜を見張りのドイツ軍の兵士が慰めるシーンも印象的だ。しかし、戦況が変わるとやはりフランス人対ドイツ人に戻ってしまう。セリフの至るところに戦争のせいだという言葉が出てくる。

この映画のテーマは反戦だ。敵国ドイツとの友情、恋愛、さらにユダヤ人差別も描いてるがこれらは「大いなる幻影」、戦争は終わらず、ドイツはナチズムに走り、フランス人はユダヤ人虐殺に手を貸してしまう。それを予言したかのような映画です。

最高でした。次にルノワール展が開かれたら
友人『どんなやつ?』
私『映画「大いなる幻影」の監督のジャン・ルノワールの親父が書いた絵だよ!!』
友人・私『…』

余計ダメか…
秋月

秋月