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U・ボートのkonoesakutaのレビュー・感想・評価

U・ボート(1981年製作の映画)
4.9
ウォルフガングペーターゼン監督の珠玉の作品。名作多しと言われる潜水艦ものの頂点にそびえ立つ大傑作。ディレクターカット版は未見。

快進撃を続けてきたドイツ軍の兵器の一つUボート。そこに乗り込むのは歴戦の勇士である船長とそれを支えたクルー、そして若者たち。今回は報道班員のベルナー少尉も。少尉の目を通して語られる大西洋の魔物、Uボートとは。そして待ち受けるものは。

ほとんどの場面が鬱屈した船内の中。撮影に2年間もかけたお陰で登場人物がみんな青白くヒゲも生えほんとうの潜水艦乗りのように。その閉鎖性と緊張感がたまらない。好きな人なら身悶えるのではないか。索敵するということは索敵されるということ。撃沈するということは撃沈されるということ。命をかけた戦いがしんしんと続く。恐怖にも色々ある。相手の爆雷、軋む船体、圧迫されることによる浸水とその音。頭上の相手をやり過ごすために船の限界を超える潜水。まあ、キリがない。

極限状態での戦闘。敵乗組員を見捨てる。精神をきたした水兵が機関の故障を直して見せるシーンはいい。

潜水艦の魅力と極限で戦った乗組員の奮闘をあの荘厳な音楽とともにたっぷりと鑑賞していただければ。

そして乾いた虚しいラストへ。小さな頃本作を初めて見たとき、「ああ、物語ってこんな切ない終わり方もするんだ」と学んだ。

なんでも本当のUボート乗りはこんなに戦いの中に不安さを見せなかったそうだ。落ち着き、任務に集中していたとのこと。死を覚悟し、なお輝いていたドイツ軍人のプライドがそう言わせるのだろう。そして40000人の乗組員のうち30000人が戦没したとのこと。海で散るのはどんな気持ちだったのだろう。

テレビシリーズのDVDパックが欲しい。