はる

汚れた血のはるのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
4.5
ー次のリクエストはJ嬢から6階のC君への贈り物、D・ボウイ「モダン・ラヴ」ー
あぁもうこのシーン大好きで本編観終わった後にここだけ繰り返しループしちゃいましたよ。堪んねえな堪んねえよ!
レオスカラックス1本も観たこと無いの恥ずくね?と突然思い立って前から気になっていた本作を観てみました。正直、馬鹿な私に敷居が高いかと思ってたりもしたんですが、全てが素晴らしくてもっと早く観れば良かったと後悔しましたよ。
おっさん2人が喋ってるだけの冒頭のシーンでコレは!?と思い姿勢を正しました。画面への拘りが凄まじく一切の隙が無い。美しく大胆でユーモア抜群。人物への執拗な寄りのショットや小道具の色を使ったユーモア。あれ?フランス国旗🇫🇷じゃんみたいなね。本当に撮影が光りまくっていて画面を観ているだけで恍惚感に浸れますよコレは。
青春劇でありクライムサスペンスであり、ディストピアSFのようなエッセンスも感じられる独特の空気ですが、やはり軸となるのは主人公アレックスの若さゆえの痛み。彼は劇中で涙や弱音を一切見せませんが、よくよく考えてみると父親が電車に轢かれ死に、一目惚れした女には振られ続け、相当シンドイはずなんですよね。でも惚れた女が泣いてりゃ得意の手品で笑わせようとし、死ぬ直前までクサい台詞を投げて、コイツはどこまで最高なんだよと思わせてくれました。特に最初にも書いたように、ラジオからボウイのモダンラヴが流れ、夜の街を疾走するシーン。コレは本当に素晴らしいシーンです。1周目よりも本編を一通り観たあとに観直してみたらさらに良さが増してつい泣いてしまいました。叫び自分を何度も殴りながら擦り切れるほど走り続ける姿は彼が抱えている痛みや苦しさを表しているんですよね。この後多くのフォロワーを産んだであろう罪深いシーンでもありますね笑。
そして本作のもう一つの大きな魅力はヒロインのアンナ役ジュリエットビノシュ。映画に出てくる女優さんはみんな美人に決まっているんですが、その中でもこのジュリエットビノシュは完璧と言える顔面の持ち主で、キュートでセクシー、大人っぽさも少女らしさも兼ね備えていてもう勘弁してくれ!みたいな女なんですよ。前髪に息をフゥッと吹きかけるクセがあるんですが、死ぬほど可愛いな!そりゃアレックスが夢中になる気持ちも分かりますよ。
まさに疾走する傑作でした。この他のレオスカラックス作品も観てみたくなりました。とりあえず寝るまでにあと10回はモダンラヴのシーンをループすると思います。
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