ちろる

こわれゆく女のちろるのレビュー・感想・評価

こわれゆく女(1974年製作の映画)
3.9
何かを見ているようでなにもみていないようなジーナローランズの演技がうますぎた。
完璧主義で心配性、子供のことも夫のこともものすごく愛しているから100パーセントの馬力で動くが空回り、こわれゆくというかとっくにもう壊れているのを何となくごまかしごまかし過ごしているような感じのメイベルの姿が痛くて見ていて辛かった。

観客のこわいもの見たさや野次馬根性を突いて、クレイジーな精神疾患者を見せていく映画は数多くある。
けれどもこの作品はそういう感じではなくて多分めちゃめちゃリアルに研究し尽くしてそんな疾患を持つ人側の苦しみにも家族の犠牲にもちゃんと向き合っているような凄みを感じる実に真面目な作品だった。

リアルを追求するあまり、最後まで綺麗にはまとまらないし、一通りではなく何通りの解釈をあたえるようなすごく複雑な感情を最後の最後まで植え付けるのだ。
居心地は非常に悪い。
もちろん面白いというよりはゾワゾワする。
ただ、まるで私もこのメイベルの親族の一員の気分にさせる緊張感の演出があまりに上手くて、逃げたいのに一気に観入ってしまったすごい作品でした。