イチロヲ

幻の湖のイチロヲのレビュー・感想・評価

幻の湖(1982年製作の映画)
3.5
滋賀県のおごと温泉でトルコ風呂に従事している長距離ランナーの女性(南條玲子)が、愛犬を殺害した犯人の捜索活動に出立する。東宝創立50周年を記念して製作された、サスペンス巨編。日本映画の黄金期を支えてきた重鎮たちが手掛けている。

主人公の置かれている境遇が、戦国時代の「お市の方」の物語と半ば無理やりにリンクするという物語。「時代に翻弄される女性を通して、人間の本質を説いていく」というテーマ性を推量することができるが、蓋を開けると「トンデモ映画の典型」になっている。

主人公の突発的な言動とハチャメチャな整合性がホラー&コメディの領域に入っており、製作者の意図に反するかたちで、ヘンテコな方向へとバイアスが掛かっている。思いつく限りのモチーフを詰め込んだら「こんなことになっちゃった!」という作品。

だが翻ってみると、「単にエキセントリックな映画なだけであり、取り立ててどうということはない」という捉え方もできてしまう。クライマックスのマラソンは、おごと温泉から琵琶湖大橋まで、約5キロ。
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