Mikiyoshi1986

幻の湖のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

幻の湖(1982年製作の映画)
3.7
日本映画界を牽引し続けた重鎮・橋本忍も、明日でなんと100歳のお誕生日を迎えます!
おめでとうございます!!

しかも1918年4月18日生まれと言えばもう一人、トリュフォーの恩人で"ヌーヴェルヴァーグの精神的父親"アンドレ・バザンがそうで、彼の生誕100周年でもあるのです!
Wでめでたいね。

黒澤明を世界的巨匠に押し上げた傑作『羅生門』で脚本家デビュー以降、数々の日本映画向上に貢献した橋本は、
更に自身が立ち上げた橋本プロダクションで『砂の器』『八甲田山』と大ヒットを飛ばし、次なる第三作目に取り掛かります。

それが東宝創立50周年記念作品と銘打ち、ものの見事にド派手な大コケを叩き出した超迷作『幻の湖』
スポコン要素から徐々に暴走し、荒唐無稽な極地に辿り着くという今やカルト映画の一つに挙げられる本作ですが、
私の中では鈴木清順『悲愁物語』と結構近い立ち位置にもあったり。

琵琶湖を舞台に、トルコ嬢お市さんが愛犬シロの敵討ちに疾走するマラソン復讐劇が展開!
戦国時代の伝説が現代に、更には宇宙にまで繋がっていくというこの異次元スケール、もはや橋本忍版『2001年宇宙の旅』ですよ。(絶対違う)

もう内容云々よりも、あれほどの精彩を放った橋本の感覚が突如トチ狂い始め、
それでもまだまだありったけの情熱を注ぎ込もうとする耄碌エネルギーにこの胸は熱く焦がされるのです…。

近年では出刃包丁持って走る和服女がアイコン化され、オマージュなんかもチラホラ出てきましたが、
これからもきっと再評価が加熱していくであろう(?)永遠のトンデモ超大作です!

あとブラタモリで近江アナを見かけると、何故かお市さんを思い出しちゃいます。
Mikiyoshi1986

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