舞台は1930年代のイギリス、幼い頃から「吃音症」に悩まされているという王子とその治療にあたることになる平民の男、二人を軸に巻き起こる人間模様を描く。史実モノ的ヒューマンドラマ。
1925年の博覧会閉会式にてスピーチを任されるもそこで深刻な「問題」が発覚、というところから物語は始まる。後に「ジョージ6世」となる王子アルバートをコリン・ファースが好演中の好演。癇癪持ちで劣等感も見えつつ、でも何よりも王族であるが故の苦悩、計り知れない重圧や平民とは違う立場、更に見えてくるつらい過去や経験というものに見入ってしまう。彼が出会うことになるのが言語療法士ライオネル、演じるのはジェフリー・ラッシュ。王族と平民、身分や育ちやこれまで見てきたもの経験してきたものも全くと言っていいほど違う二人が、初めはぶつかりながらも次第にお互いを理解し信頼し合っていく、その様は時に切なく時に微笑ましい。そこに生まれる「友情」にもグッとくるというところ。やがて第二次世界大戦という背景に繋がったりもして本当はシリアスで深刻な話、なんだけどやっぱり時折コメディ調が混ざりつつで非常に見やすい。歴史などに詳しくない人にも薦めたい、かな。終盤なんかは固唾を呑んで見守ってしまうはず。
にしても、今作にあるスピーチというのはこの時代ではとてつもなく大きな意味を持つものだったんだろうなと。敵国ドイツのヒトラー然り、言葉や声で国民を奮い立たしたり指揮したり、戦争が必要か否かはひとまず置いといて、こういった人物はやっぱり必要なんだなと思わされる。そんな「偉大」とされる人物を身近に感じれるというか、なんともおもしろい角度から描かれるヒューマンドラマ。良作。