地味だけど良い映画でした。
トム・フーパーの映像と音楽の雰囲気、やっぱり好きだな〜。
ずっと曇った空の下をイメージさせる静かさで、そこに哀愁と温かみのある音楽が重なると、本当に美しい!
人物フォーカス(超ドアップ)。
簡素で壁紙が素敵なセラピールーム。
近代だけど、中世風の美しい王宮の部屋。
「リリーのすべて」を思い出した。
あちらはとても悲しいストーリーだったけど、こちらは温かい物語。
英国ヨーク公ジョージ6世。
賢く風格ある人物なのに、吃音症のせいでスピーチが出来ない…。
言語聴覚士のローグ氏と共に「国民に向けて滑らかにスピーチをする」という困難に立ち向かう、階級を超えたローグ氏との友情物語。
よくありそうな良いお話なんだけど、これが実話だというのが感動を倍増させてくれる。
ジョージ6世の苦悩と重圧を、コリン・ファースが熱演していました。
かなり脚色はしているのだろうけど、ジョージ6世ご夫妻は実際にとても国民に慕われていたそうだし、その娘である現在のエリザベス女王も幸せな家庭環境であったそうで、遠い国イギリスに親近感が湧いた。
兄のエドワード8世のエピソードにも非常に興味が湧いたので、そちらを本題にした作品も観てみたくなった。
ローグ氏を演じたジェフリー・ラッシュ(観た後に気づいた!シャインは泣いたなー!)は、肩の力が抜けた「信頼」に軸を置くセラピーで、ジョージ6世の心を開いていく。
最後の本番スピーチはこちらも緊張するのだけど、身振り手振りで寄り添うローグ氏の優しさに、自分もセラピーされるような温かい気持ちになった。
2人の会話中のジョークが結構面白いし、卑猥な言葉をたくさん言わせるやり方も笑えるんだけど、王室が題材のせいか、なんだか気品に溢れている…(^_^;)
あと、ヘレナ・ボナム・カーターの抜けないやさぐれ感(笑)
そして廊下を歩くコリン・ファースのどアップは、さすがに本人も「カメラ近っ(・・;)」って思っただろうな〜(´-`).。oO
吃音症は、テクニックより心のケア。
そして友情があってこその奇跡のスピーチ!
素晴らしいスピーチをぜひ♫