Masato

英国王のスピーチのMasatoのレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
4.3

もう一つの戦い

やはりオスカー作品賞作品の肩書は伊達じゃない。めちゃくちゃ面白かった。あっという間の2時間。

主人公のジョージ6世がわかりすぎて辛くなる。自分は吃音症ではないのだけれど、わりと社交不安障害の傾向が強い。ただのあがり症かもしれないが。人前で話すと、体全体が熱くなって、涙が出て、手の震えが起きて、口が震えてしまい、まともに話せなくなる。とりあえず、不自然ながらもなんとか喋り終えられるけど、緊張してないと思ってても無意識になってしまうし、本当に困る。バイトの面接とかも、応募ボタン押すだけで数時間かかったし、押したあとはなぜか涙が止まらなくなった。だから、ジョージ6世が吃音で悩むのがわかる。

特に彼のような過酷な幼少期を過ごしたわけでもなく、私は幸せに育てられたのだけれど、すごい内気な性格で、プレッシャーを感じ続けているあたりとかも共感するわ。先祖の絵を見て泣くの本当に辛いわ。

そして、ローマの休日的な、王族と平民の交流と互いが言い合えるからこそ結束が強くなる友情。信頼と対等な立場。これは至言。何事も対等であることが大切だね。もちろん上下関係も必要だけれども、それよりも大切だと思う。

チャーチルやエリザベス女王など、誰もが知る人たちが出てくるのも良い。

映画的には、ヨーロッパ映画的な落ち着いた演出で、展開数が多くなく、ワンシーンをじっくりと描いているのが、見ている側としても集中できるし、味わい深く感じられるのでかなり良かった。広角なカメラで撮っていたり、Danish Girlでも感じられた、映像の淡色な美しさで最高。

演出が演出なのもそうだし、一部を除いてイギリスの貴族社会らしい上品な雰囲気。そして、コミカルなシーンが良い。下品なのも好きだけど、上品な雰囲気でシュールに笑わせにくる知性の感じられる馬鹿さ加減も最高なんだよね。まさにそんな感じ。

コリンファースのイケメンおじさん感と圧巻の吃音症の演技。本当にうますぎる。ヘレナボナムカーターもひっそり支えている感じが良い。ジェフリーラッシュがパーレイとか言うんじゃないかと思ったけど、こんなに良い演技できるだなんて知らなかった。

ガイピアースってイギリス人だったんだ。