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拳銃魔のryosukeのレビュー・感想・評価

拳銃魔(1949年製作の映画)
3.9
この時代のB級映画は現代映画が失ってしまった速さがあってよいな。
かねがね作品名は聞いていたのでどれだけの傑作かと身構えていたが、思ったよりはサラッとした作品。当然良作ではある。
王冠に火を付けるシーンは背後から映すことで単に外したのか体に誤射したのか分からなくなり、サスペンスを生み出している。割れた鏡に映る自分を見て雇い主が敗北を一瞬で悟る演出も切れ味がある。
「気狂いピエロ」が変形させて引用していたUターンからのキスが素敵。
後部座席からの長回しについては「夜の人々」にも似たようなショットがあったな。あまりに自然でどっかでカット割ったか?と思うほど。
本作のファム・ファタールは謎めいた女ではなく序盤から思いっきり悪女で、主人公をぐんぐん破滅へと引っ張っていく。思えば最初の勝負のシーンのヒロインが一番美しかったな。
人を殺さないという主人公唯一の信念は、親友を守るためにヒロインを撃つことで破られる。
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