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エデンの東のmaroのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
4.0
「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:5/6
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

「午前十時の映画祭12」にて。
1955年のアメリカ映画。
ジェームズ・ディーンはこの作品で名実共に一躍スターの地位を不動のものとしたらしい。

この映画ですごいなと思うのが、まずはジェームズ・ディーンの演技である。
厳密には、過去にエキストラで参加した作品がいくつかあるものの、きちんと出演という形になったのはこの映画が初めて。
しかも主演である。
『理由なき反抗』(1955)でもそうだったんだけど、悩めるティーンという役どころがメチャクチャハマってるんだよ。
ちょっと前まではティモシー・シャラメが悩めるティーンの役が多いけど、まさにその元祖って感じなのかな。

特に終盤のシーン。
誕生日である父親を喜ばせようとあるプレゼントを用意するんだけど、それを受け入れてもらえなくて。
そのときのあの悲しそうな悔しそうな、「なんでいつも俺だけ……」っていう表情と声がものすごくよかった。
ジェームズ・ディーン自体も父親に愛されず、母親も幼くして失くした経緯があるからか、こういう家庭に居場所のない役っていうのは、自分事として演じることができたのかもしれない。

で、そんな彼を引き立たせているのが、この映画のもうひとつよかったポイントだと思うストーリー。
自分を捨てた母親に対する愛情への飢え。
兄ばかりひいきする父親との確執。
優秀な兄に対する羨み。
現代映画でもよく題材とされる基本の設定がすべて詰め込まれているんだよね。
まさに現代映画の元祖と言えるかもしれない。
進行自体は淡々としているから、ちょっと退屈に感じてしまう人もいるかもしれないけど、ここまでいろんな要素を詰め込んでひとつの形にできるのは単純にすごいなと。

そんなわけで、映画が好きでいろいろ観たいっていう人は絶対に押さえておいて損はない作品だと思う。
ジェームズ・ディーン、交通事故で24歳にしてこの世を去ってしまったけれど、彼が伝説と言われる所以がわかるから。
様々なポップカルチャーやライフスタイルに影響を与え、美の価値観にも影響を与えた人物。
彼と同じ時代を生きてみたかった。
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